福島県南相馬市小高区でコミュニティカフェ兼コワーキングスペースを併設した私設公民館「アオスバシ」を運営する一般社団法人オムスビ。同法人は2021年から業務用冷凍パン仕入れサイト「パンフォーユーBiz」を活用し、地域住民に多彩なパンを提供している。今回、代表理事の森山貴士さんに導入の経緯や運営の工夫、今後の展望を聞いた。
焼かない“パン屋”という発想
人口約3,800人の小高区では、職人を抱えて毎日焼き立てパンを提供するのは現実的ではない。
「おいしいパンを求める声は多いのに、職人を雇うほどの市場規模がない。そこで『焼かずに仕入れる』モデルを徹底的に調べました」(森山さん)
冷凍パンなら多品種を少人数で扱え、ハード系からソフト系まで幅広いニーズに対応できる。試食を重ねた結果、味とバリエーション、そして “袋内の水分保持技術” に魅力を感じ「パンフォーユーBiz」を採用したとのこと。
※トカトカのチーズデニッシュロールはこちら
自慢のクロワッサン生地は北海道産小麦粉100%の生地によつ葉バターを何層にも織り込んでいます。
月1回の発注で3〜4ベーカリーをセレクト
店頭ではストッカー3台を活用し、パンは冷凍のまま陳列。レンジとトースターを自由に使えるセルフ方式で、ロスを最小化している。
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発注頻度:月1回
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取り扱い:3~4ベーカリー、約20品目
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主力価格帯:200~250円
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客層:30~40代のカフェ利用客+高齢層のテイクアウト需要
「40代以降の“パン好き”な方々が、一度に2,000~3,000円まとめ買いするケースが多い。冷凍だから在庫を確実に確保でき、“欲しいパンがない”という機会損失を防げるところも強みです」
地域コミュニティの“呼び水”に
森山さんが重視するのは「機能があるから人が集まる」という視点だ。
「集まることを目的にした場所は続かない。**おいしいコーヒーやパンという機能があるから、結果として交流が生まれる。**冷凍パンはその呼び水になっています」
冷凍パンの販売を通じて、原発周辺の帰還者や隣町(人口4万5,000人)の来訪者が立ち寄るなど、新しい人の流れが生まれたという。
※オープン当初の様子。現在は冷凍のみで販売しております。
現場運営で見えた課題と提案
1. 商品サイズと価格
小ぶりな200円商品は「もう一回り大きいと嬉しい」という声も。400円超の商品は“ご褒美枠”として一定の需要があるものの、価値を実感してもらう温め直し提案が鍵になる。
2. 在庫リードタイム
発注から納品まで約2週間かかるため、最低2週間分の在庫スペースと資金繰りは必須。ストッカー増設や在庫管理ルールの整備は導入時に検討したい。
3. パン屋とのフィードバック循環
「『あの枝豆チーズパンがもう一度食べたい』などの声を、パン屋さんに届ける仕組みが欲しい」(森山さん)
エンドユーザーの感想を定期的に共有できれば、パン屋のモチベーション向上や季節商品の開発にも役立つ。
“パンが買える場所”を増やし、まだ見ぬ需要へ
森山さんは今、福島第一原子力発電所から10km県内でパンが買えない地域や公共施設への小規模販売拠点展開を計画している。
「スーパーの“ついで買い”が主流の土地柄だからこそ、生活動線上に冷凍パンのタッチポイントを増やすことが重要。パンフォーユーBizの省人化オペレーションはその武器になります」
導入を検討する施設・カフェへのメッセージ
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コミュニティ機能の“核”に
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美味しいパンは初見客を呼び込み、イベントやコワーキングへ波及する。
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省力オペレーションを過信せず“在庫計画”を
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リードタイムを逆算し、ストック量と回転率を見極める。
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スタッフが語れるストーリーを用意
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温め方の一工夫やパン職人の話題がファンづくりにつながる。
オムスビ様も導入している北海道のベーカリー「トカトカ」をぜひご利用ください。
北海道小麦と自家製酵母を使い、ゆっくりと熟成させる事で、抜群の香りと旨味を引き出す独自の低温長時間熟成したパン生地にこだわったお店です。北海道小麦を使った全粒粉のフランスパンをはじめ、十勝産にこだわった材料を使ったベーカリーショップ。カスタードとあんは独自の配合で製造しています。
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